『故郷の香り』(フォン・ジェンチイ)

ギンレイで観たんですが、ひさびさによい映画でした。
情景描写が美しい。
鍋からふんわり立ち上る湯気。
ぬかるんだ地面に打ちつける雨。
風にそよぐススキの野原。
池の水面でちゃぷちゃぷ音を立てている雨垂れ。
主人公のエリート男性が、初恋の相手に会いにいったら、
美しい彼女は、オシの貧しい男(香川照之)と結婚していた。
もっと幸せになってほしかったのに、と複雑な心情の主人公。
だがその気持ちに気づいたオシの夫は、主人公の去り際、
妻と子どもを連れて帰ってくれ、と頼むんですね。
かなわなかった初恋。
でもその相手はオシの夫にとっても初恋の相手だった。
だとすれば、彼に愛されている初恋の人は、やっぱり幸せなはずなのだ、と。
この断念が、なんとも、ね。