2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧

読書メモとチェーホフのギャグ

今日いずれも7割くらい読み進めた本。 浦雅春『チェーホフ』(岩波新書) 山内昌之『嫉妬の世界史』(新潮新書) どちらも、歴史・思想系の読み物としては、最高品質だと思う。 山内を読んで思ったこと。島津久光は結局偉かったんだろうか?西郷隆盛は、久…

向田邦子と幸田文

ゴールデンウィーク。といってもやることは色々とあるはずだが、気がゆるんで、現実逃避的に雑読をしてしまう。最近、寝入り前にちょびちょび読んでいる本。 向田邦子『向田邦子全対談』(文春文庫) 向田邦子『無名仮名人名簿』(文春文庫) 向田邦子『森繁…

目白台を散歩

昨日『大転換』を入手し損ねたので、同じポランニーの『経済と文明』を読んでみたのだが、ダホメ社会(ギニアあたりか?)の独特な習俗については分かるものの、大きなストーリーが見えてこない。ちょっと煮詰まったので、気候も良いことだし、散歩でもしよ…

知識社会学と言説分析(4月22日分を移動)

今日はますます誰も読まない話題について書こう。Merton『社会理論と社会構造』の第12章「知識社会学」を勉強した。Mertonはここで、従来からの知識社会学の各潮流について整理し、今後の知識社会学のあるべき方向性を指し示している。分析されるのは、マル…

『お金に「正しさ」はあるのか』と『精神疾患とパーソナリティ』

さて、悔しさを忘れるために、読書で気を紛らわす。ロバート・グレイヴズ抄訳『ギリシャ神話』(PHP新書)、仲正昌樹『お金に「正しさ」はあるのか』(ちくま新書)、フーコー『精神疾患とパーソナリティ』(ちくま学芸文庫)を並べて、三冊同時読み(こ…

稲垣浩『風林火山』(1969)

(165分・35mm・カラー)映画産業の衰退で時代劇が作りにくい時期に、稲垣が永年熱望していた原作の映画化を実現した超大作。武田軍の名参謀、山本勘助の波乱万丈の人生を描いた本作は、三船プロにとって前年の石原プロとの共作『黒部の太陽』による大成功に続…

音楽と本

ムラヴィンスキー指揮、レニングラードフィルの「チャイコフスキー第五番」「第六番」が入った廉価版中古CDを買った。ムラヴィンスキーのCDは他にも、Altus社の日本ライブを二枚持っているのだが、とくにワーグナーのタンホイザー序曲とか、ニュルンベル…

石川啄木

たんたらたらたんたらたらと 雨滴(あまだれ)が 痛むあたまにひびくかなしさ(『一握の砂』) 火曜日は忙しくてこまります。 現実逃避をさせてください。 不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて 空に吸われし 十五の心(『一握の砂』) 行ったなぁ、盛…

マジキレ高校生のエチカ

家庭教師先の男子高校生、ワタルがキレた。 ネットを見たいと言い出したので「ダメだ」と答えると、「まじダルイんだけど、ダルイんだけど」と繰り返している。そこで、「お前、そんなダルイんやったら、病院行ったらどうや」と発言してみたら、「はあ?うっ…

日中問題

今日は、お手軽に時事ネタ。日中首脳会談が行なわれたらしく、メディアでは「両国の友好関係を確認した」というようなまとめがされているが、どうも違和感が残る。 ここで考えるべきことは、(1)反日デモがいったい何を意味しているのか、(2)中国政府に…

ラ・トゥール

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展を国立西洋美術館に観に行く。あまりに素晴らしくて、絵画展でこれほど満足したのも稀なほどだった。ラ・トゥールという作家は知らなかったのだが、カラヴァッジオの作風に良く似た感じで、すぐに見てみたいと思った。闇のな…

別館同日など。

ヒロウミックスへの回答

当初懸念していたとおり、ブログの交換日記化がますます進行しつつあるが、この際構わず、下記のヒロウミックスのコメントにまとめて回答する。 おまけに生徒が予想以上にレベルが低くて大変だ。「ノートは取った方が良いですか?」とか、「(事前に配った)…

大人化計画

昨年度と比較して一万倍は増加しただろうと思われる雑務の合間を縫って(昨年が少なすぎたというのもあるが)、せめて新書でもと、小浜逸郎『正しい大人化計画――若者が「難民」化する時代に』を読了。 小浜逸郎は好著『学校の現象学のために』など、教育論の…

魅力的な「声」

私は自分の声を何とかして改善したいと、この数年間、地道な研究を続けてきた。そもそも声に最初に問題を感じたのは教育実習の時で、私の場合、声が小さいというか、通らないのである。実習の前には、大きな声を出す練習としてカラオケボックスに行くなどの…

パソコン能力無し

メールの使い方がよく分からん。 今まで家ではやってなかったからな。 絶対にもっと簡単に出来る方法があるはずだと思うが、 めちゃくちゃ愚直なやり方で、一仕事終えた。 異常な肩こりが襲ってくる。 それに、変なメールが来て、気分が悪い。 題名が文字化…

『紙つぶて』

谷沢永一『紙つぶて(完全版)』(PHP文庫)をゲット。以前から欲しかった本であり、読み耽る。読み応えが有り過ぎる位だが、相変わらず「進歩的文化人」への批判が痛烈だ、と感じた。 丸山真男は『後衛の位置から』(未来社)で「進歩的文化人」の弁護論を展…

稲垣浩『柳生武芸帳 双龍秘剱』(1958)

「週刊新潮」連載中に評判を呼び、ベストセラーとなった五味康祐の小説の映画化。時は徳川三代将軍家光の頃、幕府の命運を左右し朝廷の安泰をも脅かすという武芸帳をめぐって、柳生一族と肥前の兵法者・山田浮月斎一派とが壮絶な死闘を演じる痛快時代劇。こ…

『赤いアモーレ』

『赤いアモーレ』(2004)。監督セルジオ・カステリット主演ペネロペ・クルス、セルジオ・カステリット。 外科医で美しい妻とすべての冨を手に入れたはずの男が、交通事故で危篤状態の娘を前に、助けを請い奇蹟を祈るのは、今は亡きゆきずりの相手であった貧…

遅ればせながら本題

さて、フーコー。 (それにしても、今食している最中の、くずだんごが美味い。) おそらく内田の言いたいことは、 レヴィ=ストロースの件でも明らかなとおり、 社会学は、体系的・形而上学的な道具立てによっては、 けっして「社会的なもの」の実質を明らか…

レヴィ=ストロースとソシオロジー

内田『社会学を学ぶ』の片言隻句が、どういうわけか面白い。昨日の言説分析のハナシがあまりに適当だったので、その補足もかねて感想。 収穫の第一。レヴィ=ストロースが、なぜ社会学と関わりがあるのかが、ようやく分かった気がした。橋爪先生などは構造主…

武田鉄矢の涙と鼻水

テレビをつけたら、 『幸せの黄色いハンカチ』のちょうど最後の場面だった。 黄色いハンカチが風にはためいて、音楽がバチーンと流れて。 何回か見たが、やっぱり名作。 高倉健のしかめっ面のアップが、すこぶる決まっている。 山田洋次監督だと『家族』も印…

ブルックナー第四番

Durkheim『フランス教育思想史』をちょこっと読む。 序文と訳者解説と第1章と第2章の途中まで。 マニアックな内容のように思われるが、意外に骨太な話。 Durkheimによると、学校の起源は教会らしい。 次の問が、おもしろかった。 (問)どうして、野蛮なゲ…

阪神ファンとは何か?

阪神―巨人戦の終わりの部分を見るために、帰宅する。 阪神の調子がすこぶる良いらしい。 母親同伴でホモ・バーに行く監督の下で、頑張っているそうだ。 赤星の調子も良い。 鳥谷の成長もいちじるしい。 もちろん今だけだろう。 私は、今年も期待しないよ。 …

物象化論とソシオロジー

飯田橋の喫茶店で、夜8時半まで、内田隆三『社会学を学ぶ』を読む。 半分くらいまで読むが、おもしろい。 やっぱりParsonsのsystem理論には無理があったんだな、と思う。 Parsonsに言わせれば、やっぱりWeberは社会学者なんだな、と思う。 Marx思想が、社会…

日記のテンション

日記のテンションがちょっと高すぎるようだ。 どうも誰も読んでいる気配がしない。 頼みのヒロウミックスも、最近は音沙汰なし。 私だって、こんな小難しいブログなど、絶対読みたくない。 方向転換が必要だろうか?今日は、K研究科のN君に、授業のことに…

今村仁司「マルクス」

ちょっと小難しいことでも考えようかと思い、『現代思想の源流 マルクス ニーチェ フロイト フッサール』の「マルクス」の項を読む。執筆者は今村仁司。 90ページにも満たない小文だが、マルクス主義とマルクス思想との関係性、「物象化論」(著者の言葉でい…

稲垣浩『手をつなぐ子等』(1948)

(86分・35mm・白黒)時代劇に名声を確立した稲垣は、一方で子どもたちの世界を愛情深く描いた一連の秀作を残した。伊丹万作の遺稿を採り上げた本作は、一人の障害児教育の現場を扱ったもので、いじめの問題も生々しく描かれる一方、結末の相撲大会のシーンは…

森岡先生は夢精のすえに…

森岡正博『感じない男』。徹底した一人称の語りでもって男のセクシャリティを暴露する、というんだが、いかんせん暴露した当人が役不足。何しろ森岡氏はオナニーをしたうえでなお、夢精をしてしまうというのだ。私は彼にアドバイスしたい。もっとオナニーの…

夢見る若者の不良債権化

山田昌弘『希望格差社会』を読了。とってもわかりやすい文章だが、たまーにおかしいのは、編集者が無能なせいか?しかし、副題の「『負け組』の絶望感が日本を引き裂く」は秀逸で、内容を的確にあらわしている。あまりに絶望的な内容なので、心臓の悪い人は…