2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

Sombartの限界

山之内先生(1997)より。 Sombartはフランクリンの「倫理」がルネッサンスの偉人であるレオン・バチスタ・アルベルティの諸説と「一言一句」同一であると主張しているが、それはまったく違う。なぜなら、アルベルティにとって一番重要なのは家政の原則で、…

五月も終り

信じられない。早い。 阪神が楽天にまさかの敗戦。これはノムさんへの義理立てだと考えよう。 このところ、気分が少し持ち直してきたかもしれない。

『水からの伝言』(2001)

「ちくま」(2006.4)の斉藤貴男の連載より。2002年8月7日の「第七回京都市道徳教育研究大会」で「心に響く道徳の時間」という研究発表がおこなわれたのだという。 主題は「言葉の大切さ」。というのもA教諭は、四月新学期に受け持った学級で、生徒たちの言…

『アセファル』

〔計画〕 七、普遍的共同体とは異なるどのような共同体――民族主義の、社会主義の、共産主義の、そして教会の――をも解体し、排除するために闘うこと。 八、諸価値の現実性、そこから生じる人間の不平等を明確にして、社会の有機的性格を認識すること。 九、現…

『神国日本』など

平安後期、厭世的な「仏教的劣等感」の克服のために「神国的優越感」が出現し、それが鎌倉時代以降、神国思想の興隆を生み出した、というのが通説となっているらしいが、実際には、現世を穢土と見る末法思想のなかで辺土粟散(ぞくさん)に住まう衆生を垂迹…

『大地のうた』

大地のうた(125分・35mm・白黒) PATHER PANCHALI ベンガル地方の貧しい村を舞台に、父が都会へ出稼ぎに行った一家の悲哀を描いた名匠サタジット・レイの一篇。リアリズムを基調にしつつも雨や夕立の表現も素晴らしく、インド映画への国際的評価のさきがけと…

ところで

今日は長谷部先生の『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書)も読んだのだが、憲法改正(9条)はまったく必要でないことがようやく確信された。ここに書くのは面倒くさいのでメモしませんが…。 あと阪神が首位に。まだ早い。

太田光の限界

風呂上りにテレビを見ていたら、爆笑問題が東大で小林先生と教養について縦横に語り合うという番組をやっていた。新入生とおぼしき東大生がいっぱいいる。そこで太田光が「専門学者が一般人に届かない主張をしているのは書き方に工夫がないから。人に伝わら…

今日の出来事

木曜もそうだったが、今日も誰とも話さずに一日を過ごした。誰とも話さずにいられる時間というのが貴重となってからは、そういう時間が自己回復のために必要であることを切実に痛感する。たったひとりで映画を見て、本を読んで、古本屋にいって、とつぜん見…

『ベリッシマ』(1951)

フィルムセンター。 ベリッシマ(114分・35mm・白黒) BELLISSIMA 第二次大戦後、イタリアのネオレアリズモ運動は世界の映画芸術を先導した。そこから現れたヴィスコンティ監督の名作で、娘を子役に売り出そうと躍起のステージママに扮したアンナ・マニャーニ…

「教育基本法」論議

2003年3月、中教審が教育基本法の見直しの方針を出して、今国会から集中的な審議に入ることになった。国会議員もそれを報道するメディアも吉外(呉智英)ばかり、というのが私の感想だ。 「愛国心」がテーマになっているようだが、こんなテーマで議論らしき…

神保町

近ごろ明らかに自分を見失っていたので、自分探しの旅に神保町に行った。 本を物色する。ガッツリ買う。ふと見ると、迷子の自分がうろついていた。急いで連れて帰った。 喫茶店で本を並べて、手当たり次第に読んだ。自在に行き来する時空。やっぱり、こうで…

岡崎次郎追記

ちなみに、夢野久作の秘書の紫村一重は、西田信春の拷問死を追究した人物であるという。この西田信春については、岡崎次郎が、「西田信春は、こんな私が惚れっ放しで飽きなかった数少ない友人の一人である」と、次のように書いている。 昭和三十四年一月末、…

『夢野久作』

調子の悪い人は絶対に読まないように。気分が悪くなるかもしれない。でも私は今はこういうのが読みたい。「猟奇歌」より。 ニセ物のパスで/電車に乗つてみる/超人らしいステキな気持ち 誰か一人/殺してみたいと思ふ時/君一人かい……/……と友達が来る 水の…

鶴見俊輔

鶴見俊輔『期待と回想(上巻)』(1997、晶文社)より。 自殺を考えなくなったのは、この二十五、六年じゃないかな。桑原武夫さんにはじめて会ったとき、私はびっくりしたんだ。「ぼくは生まれてから自殺なんて考えたことないね」といった。私は、人間はだれ…

名盤

ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調アーティスト: ヨッフム(オイゲン),ブルックナー,アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック発売日: 2001/06/06メディア: CDこの商品を含むブログ (1件) を見る

江藤淳『文学と私』

甘美な孤独に近接する死。 私が最初に文学書に接したのは、学校から逃げ帰って来てもぐり込んだ納戸の中でである。実際この納戸は、母のいない現実の敵意から私を保護してくれる暗い胎内であり、私にもうひとつの魅惑的な現実、つまり過去と文学の世界を提供…

今日の福ちゃん

今日は前よりキモくなかった。声を聞く機会がなかったからか?早くも慣れてきたのか? 会場近くに森鴎外と太宰治の墓があったようだが、雨が降っていたので行かずじまい。いつか、行きたい。 荻窪で途中下車して、ブックオフで9冊本を買う。

立川談春・立川志らく二人会

三鷹市芸術文化センター。14時より。 志らく 「愛宕山」 談春 「棒鱈」 −お仲入− 志らく 「浜野矩随」 談春 「よかちょろ」 幇間が谷底に落ちた小判を拾う話。田舎侍と江戸っ子が喧嘩を起こし胡椒を撒かれる話。河童狸や椎茸地蔵しか彫れない2世彫物師が大…

昨日はこれも読んだ

小島直記『日本策士伝』(中公文庫)。1989→1994。勉強になる。が、少しだけ何かが違うような気もする。私は小島直記という人がどういう人だか、全然よく知らない。

昨日読んだ本

尾崎(1991)。 田口卯吉は、社会的必要に対応する教育という観点から、普通教育を批判したらしい。 浮田和民は、帝国主義を倫理的に意味づけるなかで、自由主義的・内発的・活動主義的教育を打ち出したらしい。 『東京経済雑誌』は田口卯吉の影響を受けた民…

つよい不満

時間が足りない。有効活用してないからだ、と言われればそうかもしれないが、時間を有効に活用するという生き方がすでに苦痛なのだから、もうどうしようもない。甘ったれている、と言われればそれまでだが、甘えてどこが悪いんだと開き直りたいくらいだから…

藤田嗣治展

行ってきた。『シンガポール最後の日(ブキ・テマ高地)』(1942)『アッツ島玉砕』(1943)『サイパン島同胞臣節を全うす』(1945)を、穴の開くほど見てきた。 でも、猫とか裸婦とか子供とかの絵も、やっぱり良いな。戦争が終わって、落ち着いてきたころの…

これから購入したいCD・DVD

ベートーヴェン 交響曲第4番, 第7番 クライバー&コンセルトヘボウ管(国内DVD) ブラームス第4番、モーツァルト第33番、ベートーヴェン:コリオラン クライバー&バイエルン国立管(国内DVD) ブラームス:交響曲第2番, モーツァルト第36番 クライバー…

福田和也

で、談春の追っかけである福田和也氏を発見!思ったよりも、見た目がひどい。それに落ち着いたしゃがれ声をイメージしていたところが、なんとも珍妙な声で、あれじゃあテレビに出ないのは正解だな、と、失礼ながら思いましたですよ、ハイ。あんな声だと知っ…

立川談春独演会

東京芸術劇場。立川談春を聞くのは初めて。『en-taxi』で読んだ文章は滅茶苦茶上手いし、家元もしょっちゅう誉めているので、『柿子memo。』にチケットを取ってもらったのをよい機会に、ようやく見に行くことができた。 顔から想像していた通り、声がとても…

土井くん

僕の友達。極左だけど、心から尊敬している。人間として正しい。『世界』2006年4月号(P182−183)より。 「県外移設」論を批判的に考える土井智義 人々が非対称性を幾重にも刻印されながらバラバラに分極化していく現況の下で、いかに差別や抑圧をはね返す関…

自己分析

そつなくできない。器用じゃないってことか。明快なことよりも、明快でないことの方ばかり気になるのは、悪いクセだと思う。文章もだから悪文になってしまう。生理的に悪文を書きやすい体質だと思う。また、自分を客観的に制御していくことがひどく苦手で、…

『戸田家の兄妹』

1941年、小津安二郎監督。双葉十三郎『日本映画 ぼくの300本』より。 この映画の四年前に観たアメリカ映画『明日は来らず』(監督レオ・マッケリー、‘37)は生活費の尽きた老夫婦が立派に独立している息子や娘を訪ねてまわるが厄介者扱いにされるお話だった…

『生きる』

1952年、黒澤明監督。脚本、黒澤明、橋本忍、小國英雄。出演、志村喬、小田切みき、日守新一、田中春男、千秋實、左ト全。四方田犬彦『日本映画史100年』より、一節を引用。 黒澤は五〇年代を、まさに向うところ敵なしといった調子で疾走した。彼は新東宝の…