『神国日本』など

平安後期、厭世的な「仏教的劣等感」の克服のために「神国的優越感」が出現し、それが鎌倉時代以降、神国思想の興隆を生み出した、というのが通説となっているらしいが、実際には、現世を穢土と見る末法思想のなかで辺土粟散(ぞくさん)に住まう衆生垂迹した神が救済する、という本地垂迹の側面に注目しなければならない、と主張されている。つまり、仏教的世界観の内部に神々が位置づけられるというコスモロジーのなかに日本の神々の観念があったということだ。また、「日本は他国と違って神国である」と主張される場合にも、そこでは本地としての仏教的真理が他国にも存在していることは疑われておらず、ただそれが「神」として垂迹する独自性が述べられているだけである。好著。おすすめ。

神国日本 (ちくま新書)

神国日本 (ちくま新書)

思ったよりも、知ってる話が多かった。むかしの「床入り」マニュアルあたりは面白かったけど。葬儀のところは多少は勉強になった。
冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)

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