2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

小林信彦『植木等と藤山寛美』(新潮社)

『日本の喜劇人』(新潮文庫)の番外編。この本も名著。森繁久弥と渥美清についての記述が効いている。 ところで、いつか福田和也が「自分は小林信彦と立川談志のどちらを選ぶかで選択を迫られた。小林信彦はナンセンスの肯定で、立川談志は業の肯定だ。」と…

成瀬巳喜男『娘・妻・母』(1960)

フィルムセンター。成瀬監督、やっぱり素晴らしいですね。 (122分・35mm・カラー)「華麗十七大スターの競演」の宣伝文句とともに公開され、大ヒットを記録した成瀬巳喜男の大作。山の手の中流家庭を舞台に、長女の再婚、金銭トラブル、姑との同居といった…

水木しげる先生

そういえば、NHKアーカイブスで「妖怪たちはどこへ行った・水木しげるのねぼけ人生」(89年製作)を3日前だかにやっていて、テレビのまえで正座しながら見ていたのだが、やはりというか想像以上というか、水木しげる先生はほんとうに素晴らしい人だった。…

市川崑『足にさわった女』(1952)

観て気づいたのだが、観るのが二度目だった。 (84分・35mm・白黒)女スリ役の越路吹雪が見せるコミカルな動き、刑事に扮した池部良のきびきびとしたスマートな演技、小説家役の山村總の女性的な台詞回しなど、才気ほとばしる演出が小気味良い市川崑作品。無…

望月六郎『鬼火』(1997)

意外にも、傑作。無秩序で暑苦しい大阪の街の中に素晴らしい詩情を見出し、見事にそれを浮かび上がらせた。 公開:1997年 監督:望月六郎 主演:原田芳雄、片岡礼子、哀川翔、北村康、南方英二、奥田瑛二、速見典子 その昔「火の玉」と呼ばれ恐れられたヒッ…

井筒和幸『突然炎のごとく』(1994)

公開:1994年 監督:井筒和幸 主演:坂上香織、水木茂光、山本太郎、野田善子 地方都市に住む少女かおりは、退屈な毎日を持て余しながら、「ハリウッドにはセックスしかなくてね」というレイモンド・チャンドラーの一節と大差ない自分の日常に、飽和感と飢餓…

『社会』

理屈が多くて難しいけど、わりと面白かった。 ベンヤミンは『暴力批判論』において神的暴力を擁護しつつ神話的暴力を否定した。この背後には、議会制民主主義を維持するためノスケがローザ・ルクセンブルグに行使した暴力が読み解かれなくてはならない。同じ…

サンチュウ食堂

夕方、散歩に出る。寒い。サンチュウ食堂であえて「ハンバーグ定食」を頼んでみたところ、これがめちゃくちゃうまかった。ヘンなものが思いがけず美味だったりするのでサンチュウ食堂は油断ならない。それからときどき通っていたJAZZ喫茶が訳の分からな…

今井正『青い山脈』(前編)/『青い山脈』(後編)(1949)

新文芸座で二本立て。 1949年、東宝。監督・脚本:今井正、原作:石坂洋二郎、脚本:井出俊郎、撮影:中井朝一、音楽:服部良一 出演:原節子、若山セツ子、杉葉子、池部良、木暮実千代、伊豆肇、龍崎一郎 1949年段階でしか撮りえなかった戦後民主主義の理想…

黒沢清『CURE/キュア』(1997)

新文芸座、トリ6本目。90年代の精神を活写する傑作。 (1997/日)製作 加藤博之 監督 黒沢清 脚本 黒沢清 撮影 喜久村徳章 美術 丸尾知行 音楽 ゲイリー芦屋 出演 役所広司 / うじきつよし / 中川安奈 / 萩原聖人 / 洞口依子 / 螢雪次朗 / 大杉漣 / 諏訪太朗 …

黒沢清『回路』(2001)

新文芸座、5本目。私はイマイチだった。 (2001) 製作総指揮 徳間康快 製作 山本洋 / 萩原敏雄 / 小野清司 / 高野力 監督 黒沢清 脚本 黒沢清 撮影 林淳一郎 美術 丸尾知行 音楽 羽毛田丈史 出演 麻生久美子 / 加藤晴彦 / 小雪 / 有坂来瞳 / 松尾政寿 / 武田…

黒沢清『ドッペルゲンガー』 (2003)

新文芸座、4本目。傑作。 (2003/日)Doppelgänger 製作 平井文宏 / 加藤鉄也 / 宮下昌幸 / 吉岡正敏 / 神野智 / 佐藤敦 / 下田淳行 / 川端基夫 監督 黒沢清 脚本 黒沢清 / 古澤健 撮影 水口智之 美術 新田隆之 音楽 林祐介 / PE’Z 出演 役所広司 / 永作博…

黒沢清『LOFT』(2006)

新文芸座。3本目。まずまずの作品。 公開日: 2006/09/16 上映時間: 115分 監督: 黒沢清 脚本: 黒沢清 出演: 中谷美紀 豊川悦司 西島秀俊 安達祐実 鈴木砂羽 加藤晴彦 大杉漣 サスペンスホラーの世界的名手・黒沢清監督が、『ドッペルゲンガー』以来3年ぶり…

往来座外市

というわけで、一日6本映画を観るという苦行を自分に課してみたわけだが、まあ意外とやれるもんですな。ただ朝一番に行ったら新文芸座に入れなくて、喫茶店で勉強しようと思ったが寝不足でそれどころではなく、往来座にいったら「外市」が開催されていたの…

「いなせ」ともろもろ

数日前、テレビで堺屋太一が言っていたが、「…→伊達→いなせ→粋→雅→わび→こうと→伊達→いなせ→…」という概念循環図式が存在するらしい。「こうと」というのは大阪独自に発達した概念。 三洋電機、ずっとフラフラなような気が…。大丈夫なのでしょうか。同族経営…

伊藤大輔『下郎の首』(1955)

チャンバラ映画の秀作。『元禄美少年記』の伊藤大輔監督。 (98分・35mm・白黒)父の仇討ちに旅へ出た若者(片山)と彼に同行する槍持ち(田崎)の、忠義と裏切りの顛末を重厚に描いた伊藤大輔作品で、平野の重量感ある画面が味わえる。伊藤にとっては自らの…

もろもろ

6年以上もお世話になった家の家庭教師を今日を以って引退。なかなか感慨深いものがあった。 昨晩「のだめ」第4話を鑑賞。定期演奏会の場面で泣きそうになった。 私の周囲で私への評価がマニアックな形ながらも急上昇しているらしい。ようやく気づいたよう…

山口二郎『ブレア時代のイギリス』

現代イギリス政治について物凄くよく分かった。新しい社会民主主義の方向性=第三の道、について考えたい人には是非おすすめ。好著。 なおマニアックなコメントをしておけば、第6章での<「生存のリスク」の強調によって「生活のリスク」を覆い隠す新自由主…

瀬尾まいこ『天国はまだ遠く』

すごく薄い本で、読みやすい。 自分でも不思議だけど、一時間前、どうがんばってもだるかった身体が、今は弾んでいる。二十日前、死のうとしていた私は、今、子どもの頃を思い出して絵なんて描こうとしている。何十年かけても変わらないこともあるけど、きっ…

『のだめカンタービレ』

動画を視聴するための対処法を教えてもらう。3話まで見たが、漫画が原作とはいっても、脚本の力がやはり並ではない。素晴らしいし、面白い。

鈴木清順『ツィゴイネルワイゼン』(1980)

帰死願望とそれが抱える逆説の物語と見た。大傑作。 (145分・35mm・カラー)日活退社後、映画作りの拠点を失った鈴木清順が、幻想的な作風を前面に押し出し、新たな形でその美学の復活を告げた傑作。日活撮影所での永塚・木村とのコンビネーションが再現さ…

井上梅次『十七歳の抵抗』(1957)

無理が通れば道理は引っ込む。むりやりフィルムセンターへ。 (101分・35mm・白黒)旅芝居の座主の娘である女子高校生が、複雑な家族環境や恋の芽ばえに悩みながら成長する様を描いた青春映画。若き浅丘ルリ子が明るい初夏の光の中でみずみずしい存在感を放…

スパルタ

カテキョでスパルタ。「2ページ/4分で今から14ページ暗記しろ!」とストップウォッチ片手に叱咤する。 あと、今たいへん優れた論文を読んでいる。感心しきり。

淀川長治

『シネマパラダイスⅡ』より。 感覚のあるなしで、人間は幸せにもなり不幸にもなる。/……/その感覚を養ってくれるもっとも便利なものこそが映画である。/だから、映画をしょっちゅう見ている人と、映画をまったくといっていいほど見ない人とでは、顔つきか…

バイトと少し勉強

淀川長治『淀川長治 シネマパラダイスⅠ・Ⅱ』(集英社文庫)を購入。淀川長治シネマパラダイス (1) (集英社文庫)作者: 淀川長治出版社/メーカー: 集英社発売日: 1997/03/01メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る読みかけの小説を読んでから寝ます。

S氏と歓談の後、機種変

SKMT氏が来ていたのでドトールで映画談義。質の高い映画はやはり戦争体験をベースとしているよね、などと会話する。SKMT君は溝口の『雨月物語』を恵比寿で鑑賞してきたんだそうで、でも溝口は封建性をベースに傑作を取ったよね、マキノは通俗的な大…

大島渚『天草四郎時貞』(1962)

フィルムセンター。 (101分・35mm・白黒)江戸時代初期に民衆蜂起を率いた少年・天草四郎に材を採った大島渚唯一の東映作品。娯楽の王道をゆく東映時代劇に“60年安保”から連なる政治運動の戦術論を持ち込んだ問題作であり、天草四郎を演じる大川橋蔵とその…

マキノ雅弘『次郎長三国志 第九部 荒神山・前編』(1954)

出演:若原雅夫、小堀明男、水島道太郎、角梨枝子、田崎潤、千秋実、田中春男(1954年 82分 東宝) 神戸の長吉と安濃徳の縄張り争いの仲裁に立った吉良の仁吉。しかし安濃徳の黒幕・黒駒勝蔵を敵に回してしまったため、次郎長一家と共に荒神山で一戦を交える…

マキノ雅弘『次郎長遊侠伝 天城鴉』(1955)

出演:河津清三郎、森繁久弥、本郷秀雄、利根はる恵、千秋実、水島道太郎 (1955年 96分 日活) 『秋葉の火祭り』に続く次郎長遊侠伝第二話。大島に流されていた甲州の吃安が囚徒五名をつれて島を破る。秋葉を逃れた次郎長一家は、ヤクザの仁義を外れた吃安…

あれこれ

久しぶりにHiroumix氏と歓談。のだめカンタービレのDVDをもらう(しかしwindows media playerの使い方が悪いのか、音声は流れるのだけど、映像が出てこない。どういうこっちゃ?!)。こちらの目まぐるしい近況、アニメ、俳優、映画の話をする。オタクに…