マキノ雅弘『次郎長遊侠伝 天城鴉』(1955)

出演:河津清三郎森繁久弥、本郷秀雄、利根はる恵千秋実、水島道太郎 (1955年 96分 日活)
『秋葉の火祭り』に続く次郎長遊侠伝第二話。大島に流されていた甲州の吃安が囚徒五名をつれて島を破る。秋葉を逃れた次郎長一家は、ヤクザの仁義を外れた吃安をたたき斬ろうと草鞋を履くが…。『秋葉の火祭り』につづいて、北原三枝は流転の女を好演。吃りをお得意のオペレッタに結びつけるなど、マキノの遊び心ある演出も冴える。

次郎長三国志』があくまで本筋だけど、まあこれはこれで良いかと思う。北原三枝は『火祭り』の馬子役よりも断然美しかった。馬子役のときの映像(河津との林でのシーン)が回想として流れたのも素晴らしく、指を詰めた北原三枝の涙を流す横顔の美しさが何ともいえない。個人的には川合玉江をもっと見たかった。