黒沢清『ドッペルゲンガー』 (2003)

新文芸座、4本目。傑作。

(2003/日)Doppelgänger 製作 平井文宏 / 加藤鉄也 / 宮下昌幸 / 吉岡正敏 / 神野智 / 佐藤敦 / 下田淳行 / 川端基夫 監督 黒沢清 脚本 黒沢清 / 古澤健 撮影 水口智之 美術 新田隆之 音楽 林祐介 / PE’Z
出演 役所広司 / 永作博美 / ユースケ・サンタマリア / 柄本明 / ダンカン / 戸田昌宏 / 佐藤仁美 / 鈴木英介

観客の期待や予定調和を次々に裏切っていくこの監督の意図に沿うものかどうかは分からないが、私としては完全に作品意図を解読することができた。きわめてよく出来た脚本で、傑作だと思う。
まずは「ホラー映画か?」というところで裏切られるのだが、ドッペルゲンガーを「否定的対象」として自覚化(=「否定性の肯定」)することによって、「人間の複雑さをそのまま実現するロボットの完成」という、主人公のライフワークに象徴される主知主義的人間理解が手放される物語となっている。
ユースケ・サンタマリアの演技力が素晴らしい。あと中谷美紀にしろ永作博美にしろ「そうは見えないのに意外におっぱいがデカイ」という、まあこれは括弧で強調する必要もないけれど、そういう女優が多く黒沢清作品に出てくるように感じられるのは、これはたんに自分の萌えポイントを投影した卑しい邪推にすぎないのか、と思った。