市川崑『足にさわった女』(1952)

観て気づいたのだが、観るのが二度目だった。

(84分・35mm・白黒)女スリ役の越路吹雪が見せるコミカルな動き、刑事に扮した池部良のきびきびとしたスマートな演技、小説家役の山村總の女性的な台詞回しなど、才気ほとばしる演出が小気味良い市川崑作品。無声期にモダンな作風が絶賛された阿部豊作品(1926年)のリメイクである。
’52(東宝)(撮)安本淳(監)(脚)市川崑(原)沢田撫松(脚)和田夏十(美)河東安英(音)黛敏郎(出)池部良越路吹雪山村聰藤原釜足、見明凡太朗、伊藤雄之助岡田茉莉子沢村貞子加東大介村上冬樹、高堂國典、長浜藤夫、柳谷寛、三好榮子、廣瀬嘉子、山本廉

前に見たとはいっても、池部良越路吹雪山村聰藤原釜足岡田茉莉子沢村貞子加東大介の演技がふたたび観れたのだから、まあ良しとしよう。大阪から東京へ向かう電車のなかでスリと刑事と小説家が珍道中を繰り広げる話。途中、下田に寄って、美人スリが故郷での恨み晴らそうとするが、盛大な法事を開催したものの、来たのは哀れな老人ばかりで失敗する。
コミカルなストーリー運びでまあまあの作品だけど、越路吹雪のキャラクターと山村聰の演技は素晴らしい。