「教育基本法」論議

2003年3月、中教審教育基本法の見直しの方針を出して、今国会から集中的な審議に入ることになった。国会議員もそれを報道するメディアも吉外(呉智英)ばかり、というのが私の感想だ。
愛国心」がテーマになっているようだが、こんなテーマで議論らしきものが交わされていること自体、愚劣かつ信じがたいことである。
国家は絶大な権力を保持しているのだから、個人の内面を規定するような法律を作ってはならない。また、各個人の信奉する価値は共約不可能なものだ、というのが(宗教戦争以後の)近代社会の根本原則である。個人の内面的価値を方向づけるような法規定は、それと相容れない価値を持つ人々の社会からの離反(「排除」ではない、念のため)を招きかねないのである。
そもそも教育基本法をいじったら愛国心が復活するという考え自体が幼稚である。こんなことに議論を費やしている時間とエネルギーがあったら、もっと愛国心を高める実効的な方策がいくらでもあるはずだ。
金正日に頼んで国会にピンポイント爆撃してほしい。って、テポドンじゃ無理か。命中精度が足りない。
http://www.houko.com/00/01/S22/025.HTM
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/special/s03/20060426tv03.htm
【追記】
比較して分かるように、改正案の教育目的には「態度を養う」という文言が散見される。近代社会において「(国家が)養ってもよい態度」とは、個人の自律性の尊重、およびそれに基づいて育まれる社会への責任あるコミットメント、のみである。この点で、明らかに現法の方が適切な理解の上に立っている。馬鹿な政治家は死滅してほしい。