Sombartの限界
山之内先生(1997)より。
Sombartはフランクリンの「倫理」がルネッサンスの偉人であるレオン・バチスタ・アルベルティの諸説と「一言一句」同一であると主張しているが、それはまったく違う。なぜなら、アルベルティにとって一番重要なのは家政の原則で、営利の原則ではないからだ。アルベルティは、魂の平安を理想とし、エピクロス的な静寂生活を深く愛する心情の持主だった。祖先への誇りを強くもち、それに対する自負の感情をあらわにして、一族の名誉を最高の目標とする。これが、人生における心情として表明されている。したがって、何といっても大事なのは家族財産である。財産分割をせず、アルベルティ家の財産をさらに拡張し、息子に譲って、さらにそれを拡張させるということ。〔しかし〕こういう家政の原則は、厳格なピューリタンの眼からすれば、被造物神化の罪悪である……(69−70)
こうした論争に巻き込まれたばっかりに、ヨーロッパ近代の卓越性を主張したと誤解されたのだ、というのが山之内先生の指摘ですな。