YAMATOの補足

オーウェル『水晶の精神』より、『男たちの大和』の補足。

ナショナリズム愛国心とを混同してはならない。通常どちらも非常に漠然とした意味で使われているので、どんな定義を下しても必ずどこかから文句が出そうだが、しかし両者ははっきり区別しなければならない。というのは、そこには二つの異なった、むしろ正反対の概念を含まれているからである。私が「愛国心」と言う場合、自分では世界中でいちばんよいものだとは信じるが他人にまで押しつけようとは思わない、特定の地域と特定の生活様式に対する献身を意味する。愛国心は軍事的な意味でも文化的な意味でも本来防御的なものである。それに反して、ナショナリズムは権力欲と切り離すことができない。すべてのナショナリストの不断の目標は、より大きな勢力、より大きな威信を獲得すること、といってもそれは自己のためにではなく、彼が自己の存在を没入させることを奪った国なり何なりの単位のために獲得することである。(36)

正月に坪内祐三の本を読んだら出てきていたので、ここに写そうと思っていたんだ。http://d.hatena.ne.jp/seiwa/20051010