『戦艦ポチョムキン』(1925)

で、今日は何をしたのかというと、『戦艦ポチョムキン』を観に行ったのだった。ソ連、1925年。セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督。アレクサンドル・アントノフ、グリゴーリ・アレクサンドロフ、ウラジミール・バルスキー。双葉十三郎『外国映画 ぼくの500本』より。

モンタージュという映画文法の基礎を確立させ、映像表現を飛躍的に前進させたことで世界映画史に名高い傑作。一九〇五年、ロシアの巡洋艦ポチョムキンで水平の反乱が起きるが、オデッサで鎮圧される。オールロケでダイナミックな映像とカッティングがすごい迫力。大階段での虐殺場面は、ころがり落ちる乳母車の扱いがすばらしい。サイレントの画面から人々の絶叫が聞こえてくるようだ。これほどの名画だが、日本での一般公開はやっと一九六七年。

全篇ショスタコービッチ交響曲が流れていて、描写がねちっこくて、でも大胆な構図がドバーンと出現したりして、とにかく迫力満点、油っこさ満点だった。5章構成で、「これは蛆虫ではない」との上官の発言(字幕)は、ショスタコービッチの不協和音と相まって、不条理感を際立たせていた。最後、メンシェビキ(革命派)派のポチョムキン号は、追撃隊の艦隊群を革命主体へと翻意させることに成功するのだが、これは史実とは違うらしい。