『ぶどう月』(1919)

フィルムセンター。もはやここの専門学校生だから。149分。長い。
無声映画。ドイツに攻めたてられ、南仏に逃れる人々。川から眺める景色が綺麗。人々はぶどう農園で収穫期の季節労働者として雇われる。
一方、ベルギー人に成りすました脱走ドイツ兵が二人、紛れ込んでいる。彼等は、夫を戦争で亡くしたジプシーに濡れ衣を着せ、仲間の給料を盗もうと謀っている。
だが悪事は露見する。一人は葡萄貯蔵庫に転落し、発酵ガスのせいで死亡してしまう。彼はじつは仏軍相手に毒ガスを使用した最初の兵士だったのだ。残った一人も、ワイン完成の祝宴で正体がばらされてしまう。人々はワインの豊饒とフランスの未来を祝い、乾杯する。
いわゆる国意発揚映画。ワインを兵士の血に見立てる所など、類似の思考はあるものだなと思う。無垢な子供をうまく使っている。無垢=正義、大地の豊饒=勝利。途中100分過ぎから中だるみが続くが、質的にもなかなかの映画。かなり楽しめた。