キミーの足

南アルプスかなにかの白馬岳あたりに登ったらしいのだが、全身が浅黒く日焼けしているうえに、足にひどい怪我をしている。弁慶の泣き所からふくらはぎにかけ、皮がズル剥け。赤チンが塗ってある。
「痛いでこれ。えらい怪我したんや。」
患部を見せつけるキミー。
「ほんまやな。どうしたんや。」
「テーピング外すときにベリッといったんや。」
そのとき、私はピンと来てしまった。
「もしかして、半ズボンで山登ったんちゃうやろな。」
キミーは夏は半ズボンなのだ。
「せや。半ズボンや。」
「半ズボンで南アルプス登ったら、そら、怪我するやろ。自業自得やろ、それ。」
「せや。自業自得や。」
自覚しているところが逆にこわい。