職場うつ

NHKスペシャルで「職場うつ」の特集を見る。うつ病患者を多発させるような職場のあり方が果たして「合理的」なのか、企業の見識が問われる。人材を効果的に生かすためにも、組織の合理性とは何なのか、再考が必要である。資本主義の欠陥を福祉国家政策が埋め合わせたように、グローバル資本主義に内在する形式合理性の過剰追求に歯止めをかけるための、政策レベルでの対応が求められる(うつ病患者の増大は国家的にも大きな経済的損失である。派遣労働者の処遇も同じ問題系に属する)。『虚妄の成果主義』の知見もしっかりと生かしたい。
いちばん大切なのは、人間はそんなに頑張れない動物であることを肝に命じておくことだ。悠玄亭玉介『幇間(たいこもち)の遺言』(集英社文庫)の言葉を思い出そう。

欲があるから、頑張れる。欲てえものは、必要なんだ。だけど欲張っちゃいけない。人間てえのは、生まれながらにして、大きさが決まってるんだ。/「一生は一升に通ず」てんだ。いってみれば、人間は一升のマスみてえなもんだから、一升のマスに一升以上の水を入れようとしたって、こぼれちゃう。/そうだろ。あんまり頭のよくない子供に、勉強、勉強なんてつめ込もうとしたって、入らないものは入らない。みんなこぼれちゃう。……/あたしは、自分のマスのなかに一升は入らない。八合五勺が限界だって思ってるよ。/人生、八合五勺。なっ、いいだろ。人間、それでいいんだよ。あたしも欲張らないことにしてんだよ。これ以上、欲張ると、こぼれちゃうからな。(257−258)

簡単なことではないが、「中庸」こそが肝要なのである。