清水宏『サヨンの鐘』(1943)

公開:1943年 監督:清水宏 主演:李香蘭近衛敏明、大山健二、若水絹子、島崎溌、中川健三、三村秀子、水原弘志、桜蕃社
舞台は戦時下の台湾。美しく快活な、高地民族のサヨンは、内地から帰ってきた恋人のサブロと湖へ赴く。だがその湖に女が入ると、湖の精の祟りがあるという。やがて恩師の出征日がやってきて…。子供たちや家畜たちを率いる李香蘭の惚れ惚れする姿に注目!

シネマヴェーラ。これが李香蘭か。
ゆったりとした雰囲気で、高砂族の暮らしぶりを描いている。可愛い黒豚、子供たちと赤ちゃん、世話を一手に引き受ける李香蘭が、ほのぼのとした魅力を醸し出す。村は日本語教育を始め、徹底的に皇民化されている。そこへの疑いは当然フィルムには皆無であるが、とにかく子供と豚と李香蘭が可愛らしい(「オリエンタリズム」の疑いも濃いが…)。俯瞰ショットが効果を上げている。