職質される

駅からの帰り道、向こうから二人組の警官が…。
「(私の心の中)誰か探してるのかな?面倒も困るし、念のため視線は伏せとこう。といっても、さすがに呼び止められはしないよな。何だかんだ言って、社会性ある感じだもん、オレ」。「(次の瞬間の心の中)そういえば昔、自転車に乗って職質されたことあったよな。あの時はずいぶんと若かったワ。警官相手にヤケにとんがった受け答えしたり。そういうトンガリが、警官をして職質に至らしめるのだよ。ふふふ」
と、ニヤけたのが失敗だった。ニヤけた顔を警官は見逃さなかった。

(警官)「ちょっと君、これからどこ行くの?」
(私)「えっ、いや、家に帰るだけです。」
(警官)「家ってどこ?」
(私)「あっちの方」
(警官)「名前なんて言うの?」

完全に疑われているではないか!!不快感が込み上げた。

(私)「何で名前を言わなきゃいけないんですか?」
(警官)「ちょっと人を探しててね」
(私)「なんて人ですか?」
(警官)「加藤さん」(私)「チガイマス」

「えっ、私、加藤って言うんです」という答えもあり得たのだが、あまりトリッキーなのも良くないと思って、やめておいた。警官は「そう、すみませんね」と言って、去って行った。まあ一瞬不快だったけれど、警官を見て、視線を逸らして、ニヤけたのだから、悪いのは私だったのかもしれない。生まれてきてすみません。