青山真治『サッド・ヴァケイション』(2007)

136分 監督・原作・脚本: 青山真治 出演: 浅野忠信 石田えり 宮崎あおい 板谷由夏 中村嘉葎雄 オダギリジョー 光石研 斉藤陽一郎 辻香緒里 川津祐介 とよた真帆
ストーリー:国人密航者の手引きをしていた健次は、身寄りのない少年・アチュンを連れ帰り、共に暮らしている幼なじみの安男の妹と3人での生活を始める。追っ手から逃れるため運転代行へと職を変えた健次はある日、“ワケあり”の人々に職と住み処を与えている運送会社の社長・間宮と出会う。彼を家まで送り届けた健次はそこで、かつて自分を捨てた母親と再会する。(関西ドットコム

何というか、あまり感心はできなかった。ストーリーが分かりにくくて、腑に落ちた感じがしない。
『Helpless』や『ユリイカ』の続編的な要素もあるらしく、二つとも見たことがあるが、この作品のテーマも<「社会的であること」と「実存的であること」の乖離>にあると言えそうだ。「薄められた脱社会的リアリティー」が物語の背後に隠れていて、「バスジャックの時の宮崎あおいちゃんがこうなったのか〜」などと納得できたりはする。
でも、いちいちそういうことを考えるのが面倒くさい。なぜ面倒だと感じてしまうのかといえば、(1)90年代の世紀末的雰囲気が失われたこと、(2)自分が成熟したので「社会か実存か」みたいな二分法的思考がリアルでなくなったこと、(3)そもそも本作に魅力が欠けていること*1、などが挙げられる。
石田えりの母性の意味とか、シャボン玉がどうだとか、間宮運送の雰囲気とか、いろいろ考えられるのかもしれないけど、不毛な感じというか退屈というか、「それよりもっと観客に優しいストーリー作りをしてくれよ」と思わざるをえない。ごめんね。でも『エリザベス』の30分の1くらいの面白さだったよ、正直。

*1:「母性」に妙な意味づけがなされているようなのだが、それが何なのか分かりにくい。まあ実は分かりそうな気もするのだけど、どっちみちイマイチなのは、そこはかとなく「狙っている感」というか「頭で考えた感」があるんだよなー。