リンダ・ハッテンドーフ『ミリキタニの猫』(2006)

THE CATS OF MIRIKITANI アメリカ映画  1時間14分 監督: 出演: ジミー・ツトム・ミリキタニ、リンダ・ハッテンドーフ、ロジャー・シモムラ
2001年9月11日、崩れ落ちるツインタワーの前で平然と絵を描く男性がいた。路上画家ジミー・ミリキタニ(三力谷)80歳。アメリカ国籍を持ちながら日系人強制収容所に入れられ、反抗して自ら市民権を捨て……。リンダ・ハッテンドーフの愛溢れるカメラに収まった、反骨魂の軌跡!!

良い作品だった。猫が好きなミリキタニだが、彼の描くネコは、トゥールレイク収容所で死んでいった、5歳の子供の記憶へと連なっている。日系アメリカ人収容所での体験は、ミリキタニの創作動機の根底に位置するものであり、9・11以後、戦争に向かうアメリカ政府に対しても、強い怨恨感情がぶつけられる。しかしリンダ・ハッテンドーフをはじめ、親切なアメリカ人に囲まれているミリキタニにとって、アメリカへの感情は単純なものでは決してなく、そのことはトゥールレイクへの彼の訪問シーンで、じわじわと分かる仕掛けになっている。
小さなカメラで撮られた映像だが、とても雰囲気が良い。チャーミングなアメリカ人がたくさん出てきて、印象が良い。