ジュゼッペ・トルナトーレ『ニュー・シネマ・パラダイス』(1989)

主演:フィリップ・ノワレ、ジャック・ペラン、サルヴァトーレ・カシオ、マルコ・レオナルディ、アニェーゼ・ナーノ、プペラ・マッジオ、レオポルド・トリエステ
シチリア島の少年サルバトーレは、映画館パラダイス座の映写技師アルフレードを慕って自身も映写技師となる。その後島を出た彼が30年ぶりに帰ってくると、パラダイス座は廃館となっていた。深夜の野外上映会や、キスシーンのみを繋いだフィルムの映写場面などが忘れがたい名作。

次元の違う傑作で、これは泣いちゃうよね。
美しい記憶に満ちた30年前のシチリア島は、主人公にとって映画の思い出とともにあった。映画の喜びがそのまま人生の讃歌に通じる、幻のような美しさ。しかしこの風景のなかにも、戦争で夫を失った母親、複雑な心情を抱えた映画技師アルフレードらが存在することを忘れてはならない。郷愁の中にある美しさは、ただ美しいというだけではなく、それ以上のものとして存在するのでなければならない。
映画を見て、泣き、笑うことが、人生(の苦味)とともにあること、いくら辛い人生でも、それを力強く肯定することが何より大切なこと、だから映画が必要なこと。偉大でパーフェクトな名作です。