内田吐夢『宮本武蔵 一乗寺の決斗』(1964)

主演:中村錦之助入江若葉木村功浪花千栄子、竹内満、丘さとみ高倉健
吉岡清十郎、さらに弟の伝七郎との果たし合いで彼らを倒した武蔵は、吉岡一門の総力をあげた挑戦を受けることになる。これが73人の敵を向こうにまわし、武蔵がひとりで戦いを挑むという有名な一乗寺下がり松での決闘である。この映画史に残る見事な決闘シーンは、内田吐夢のリアリズムが到達したひとつの頂点であり、白黒で撮影された19分にも及ぶ決闘シーンは、まさに息を呑むような迫力に満ちあふれている。

一乗寺下がり松での白黒映像は、圧倒的な傑作シーンの連続だった。ヌボッ、ボコッと田んぼの泥濘に足を取られる武蔵と吉岡一門。勝利を確信した武蔵の雄たけび。その目は狂気そのものだった*1。泥まみれ、血まみれ。
伝七郎との試合で、三十三間堂の角からヌッと姿を現す武蔵もカッコイイ。吉野太夫の説教もやはり素晴らしい。

*1:この映像は一度は見た方が良い。