「パートタイム民主主義」

丸山眞男話文集』の第二巻が出ていたので、とりあえず購入。

民主主義というのは、みんなが天下国家のことを、少しは考えるということを前提にしているから非常にやっかいなんだ。民主主義ってのは、みんなアパシー〔apathy 無関心〕になっちゃったらダメなんだ。……ところが、天下国家なんてものは、みんなが考えることじゃないわけですよ。僕は、パートタイム民主主義ってよく言うんですが、(笑)一日のうち五分間でもいいから天下国家のことを考えたらいいんです。それでなきゃ無理なんだ、職業政治家じゃないんだから。だけど、五分間でも天下国家のことを考えなかったら、民主主義は滅びます。そのぐらい無理な主義なんだ。非常に自然に反する主義なんです。(284)

完全に同意。五分間でも無理です。
次はおまけ(笑)。

大学紛争の時に、僕は全共闘とよく議論しました。結局〔君たちは〕、制度否定的だから、制度を否定すると、全部がハプニングになっちゃうんですよと。全部がハプニングになると、「この機会に」ということになっちゃうんだ。全部ノー・ルールなんです。だから、制度というのは人間の恣意を、恣なる意思をコントロールする、制約する意味を持つんです。(350)

人間の意思を「恣(ほしいまま)」なるものと見て、そこに人為的なコントロールをかけていくのが、ここで言う「制度」である。そこで必要とされるのは、自分の意思をも他者なるものと見なす「他者性の感覚」に他ならない。全共闘には無理だよね。