伊藤大輔『番町皿屋敷 お菊と播磨』(1954)

(93分・35mm・白黒)播磨とお菊の有名な怪談話を、愛と信頼、裏切りというテーマで捉え直した岡本綺堂の戯曲「番町皿屋敷」が原作。お菊を深く愛する播磨に、伯母は娘との結婚を迫り、二人の心を激しく揺さぶる。
'54(大映京都)(監)(脚)伊藤大輔(原)岡本綺堂(撮)杉山公平(美)水谷浩(音)伊福部昭(出)長谷川一夫、津島惠子、田崎潤、東山千榮子、阿井三千子、村田知英子、進藤英太郎、清水將夫、羅門光三郎、杉山昌三九、石黒達也

町火消と大名火消の対立に巻き込まれ、お菊を愛する播磨は、名門の娘との結婚を迫られる。だがそのような結婚を認めれば、自分の武士の一分が成り立たず、しかし自害すれば、愛するお菊をあとに残すことになる。苦しい心境に追いやられる播磨。
伯母から送られた家宝の皿をきっかけに、播磨は屋敷に火を放ちお菊を殺害、その後、自らも命を絶つ。お菊を殺す理由も自分が死ぬ理由もメチャクチャなものでしかない。だが「破滅願望」というのは元来こういうものであり、傍目から見ればほかにやりようはいくらでもあるのに、そういうものを全部無視して、人は破滅を選ぶのである。