NHKスペシャル「新シルクロード 第五集 天山南路 ラピスラズリの輝き」

天山南路のオアシス都市、クチャ。亀茲国は交易で栄えたが、しばしば匈奴と中国との紛争に巻き込まれた(漢の武帝が領域拡大)。鳩摩羅什は、亀茲国王の妹を母、インドの亡命貴族を父に持つ高僧。35歳のとき、前秦の呂光により女と密室に閉じ込められ、破戒僧になることを強いられた。十数年もの軟禁生活を経て、仏典を翻訳。色即是空、極楽などの言葉を生んだ。
クチャのキジル千仏洞は仏教壁画が描かれるが、戦争による荒廃を受け、地獄が盛んに描かれた。釈迦なきあと(=涅槃)救いは何もないと考えられ、末法思想が誕生。一方、青い天空は神の理想世界を表すとされ、石窟内はラピスラズリの青で埋められた。「煩悩是道場」を説いた鳩摩羅什は、413年、69歳で長安にて没する。現在のクチャはイスラム教。今も青(キュック=空・天)の塗料が用いられる。
鳩摩羅什というのは恐ろしく偉大な人物。