『世界最高の日本文学』

許光俊先生の新著。予想にたがわず、いや、予想をはるかに超えて、素晴らしい。あとがきでも述べられているように、本の内容からすると、『日本文学ヘンタイ論』とか『実はヘンタイ日本の作家』といった題名がふさわしい。何しろ取り上げられているのが、岡本かの子『鮨』『老妓抄』、森鴎外『牛鍋』、三島由紀夫憂国』、泉鏡花『外科室』、武者小路実篤『お目でたき人』、川端康成眠れる美女』、谷崎潤一郎『少年』、江戸川乱歩『芋虫』、嘉村磯多『業句』、夢野久作『少女地獄』、小林多喜ニ『党生活者』、という具合なのだから。引用したい文章が無数に見つかったけれど、重引もなんだし、みなさん、お読みください、ということにしておく。読んでぜったいに損はない*1。とりわけあなたが、ありきたりなことでは物足りない人であるのなら(許先生風)。
阪神についてはコメントしたくないが、明日は、JFKに三回ずつ放らせてみたらどうだろう?

世界最高の日本文学 こんなにすごい小説があった (光文社新書)

世界最高の日本文学 こんなにすごい小説があった (光文社新書)

*1:このブログではけっこう本を紹介しているけれど、おすすめ本というのは意外に少ないのである。今までだったら、リリー・フランキー『東京タワー』、佐藤優国家の罠』、本田透電波男』、中沢新一『僕の叔父さん 網野善彦』ぐらいかな。もう少し広げるとすると、浦雅春チェーホフ』、岡崎京子ヘルター・スケルター』とか、その辺かな?