小室直樹(必読!)

そういやァ、落語立川流顧問の天才・小室直樹。小室先生と飲むと、軍歌ばっかり。
二人で唄ってると、こちとらのほうが歌の記憶力はいいから、“こら、小室、歌詞(うた)が違っとるぞ ” てなことをいうと“ はい!” ってな返事の小室二等兵
二人ベロンヽヽヽになって、神田駿河台の「山の上ホテル」で『麦と兵隊』を唄った。
♪友を背にして、道なき道を……
「お前は傷病兵だから、背中におぶされ」
「おぶさりました」
「もっと下に下がれ、傷病兵だから」
こっちゃあ重たいと思うから上のほうに乗ってたんだけど、先生がそういうんだから仕様がない。下のほうにぶら下がるようにおぶさって、二人でホテルのロビーを、
♪行けど進めど 麦また麦の
 波の深さよ 夜の寒さ
と唄い歩いた。小室先生、時折私を下すと、“天皇陛下万歳ッ”。
山の上ホテルは驚いたろね。けど相手がよくない。天下の小室直樹先生だ。いや、失礼、あたしも一緒だ、面目ねえ。そういう一面を持っているあの天才、小室先生、いいんです。このところお会いしてない。生きてはいるらしいが、♪今ごろは直樹はん 何処(どこ)でどうしているのやら……、『三勝半七』だ。「義太夫」の名文句だが……古いかァ。(142−143)

書き写してるだけで、微妙に泣けてくる。なんとそのときの写真も載っているのである。近日中に補足する予定。