雑読

陳寿の正史『三国志』に戻って、『三国演義』によって作られた劉備=善、曹操=悪の図式が訂正される。それをふまえ、曹操とその子(曹ヒ、曹植)の詩人としての側面に光が当てられる。五言詩というジャンルは彼らによって開かれたものらしい。また曹操は宦官の養子だったため多様な新機軸を打ち出せたらしい。

中条省平。だらだら読んでるぶんには面白い。

「『プロットについて定義しよう。物語(ストーリー)とは、時間の経過にしたがって事件を語ることで(中略)“王が死に、悲しみのあまり王妃が死んだ”というのはストーリーである。“王が死に、悲しみのあまり王妃が死んだ”というのががプロットである』」。これは有名なフォースターによる定義で、誰もが小説の書き方で引用する。(166)

「内に謎をふくみ、発展する可能性をもったもの」がプロット。他には、村上春樹が自閉的でありつつ他者との出会いを描くというスタイルであること、深沢七郎が天才であるとしきりに言われていること、などが、気になったといえば気になった。

小説の解剖学 (ちくま文庫)

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