成瀬巳喜男『流れる』(1956)
流れる(116分・35mm・白黒)
落ちぶれかかった柳橋の置屋に暮らす芸者たちの哀歓を、この上なく豪華な女優陣によって綴った大作。人物の視線の交わしあいにストーリーを語らせる成瀬演出が冴え渡るが、大ベテラン栗島すみ子だけは現場でも監督を「巳喜ちゃん」と呼んではばからなかった。
’56(東宝)(原)幸田文(脚)田中澄江、井手俊郎(撮)玉井正夫(美)中古智(音)齊藤一郎(出)田中絹代、山田五十鈴、郄峰秀子、岡田茉莉子、杉村春子、栗島すみ子、中北千枝子、賀原夏子、宮口精二、加東大介、中村伸郎、音羽久米子
『流れる』は信じられないほど豪華な女優陣で、舞台となっている浅草橋近くの柳橋の記述も含め、小林信彦『昭和の東京、平成の東京』に的確かつ熱のこもった論評がある。必見。近く引用するが、とりわけ山田五十鈴の素晴らしさ!