愚見その一、内政干渉について

ふと思ったのだが、内政干渉という言葉には気をつけた方がよい。右翼的な論調のなかで、「中韓内政干渉」などという言説を散見することがある。しかしよくよく考えてみれば、内政干渉といっても、それに影響されなければ、干渉にはならないのである。
そもそも、国力からいって、中韓が日本に内政干渉することなど難しい。経済力を見ても、日米関係を見ても、日本は圧倒的に優位な位置を占めている。たとえ内政に口出しされたって、所詮は口出しなのだから、泰然と自己の立場を説明し、堅持すれば、それで済むはずなのだ。
ではなぜ「内政干渉」などというヒステリックな言辞が目立つのか?それは明らかに国内世論の分裂状況を反映したものだ。靖国問題や教科書問題に見られるように、中韓の論調に賛成する国内左翼勢力が存在するからこそ、右翼勢力は、「内政干渉」というレトリックでその勢力の伸張を防御しようとするのだ。
しかし、真の右翼であるならば、そういう姑息なレトリックで矮小な政治的行動に出ることは慎んでほしい。繰り返せば、「内政干渉」などそれに影響されさえしなければ、ありえないのである。それに影響されてしまうような国内状況であるならば、まずはそこを立て直す言論を紡ぐことが、真のナショナリストとしての面目というものだ。