生方敏郎『明治大正見聞史』

なるほど名著。ふざけて書いてあるのが良い。カタい本で知った知識に生彩が与えられる感じがする。日清戦争後に芽生えた国民意識、悲憤慷慨する蛮殻学生から煩悶青年への変化なども、ふーんこんな様子だったんだと納得。戦争ってやっぱりお祭りめいた躁状態だったのね。小学校・中学校などの様子も興味深いが、書生は帝大ではなく私大の方が幅を利かせていたというのは新知識だった。本当なのだろうか。明治天皇崩御の記述がいきなりセンチメンタルになるのはかわいらしい。