深夜のマック

マクドナルドが夜遅くまで開いていたので、どうせだからと勉強していたのだが、深夜のマックには奇妙な人が多くいる。ぶつぶつと独り言を呟いている、白髪交じりの頭髪をゴムで束ねたつっかけ姿の中年女性が隣に座っている。家庭をもたない独身女性だろうか。帰れないほどに荒廃した家庭なのか。呪詛のようにも聞こえる独り言は、昼間の職場の人間関係を呪ってのことか。おのれの妄想世界に独り遊んでいるにすぎないのか。
店の屋外スペースでは、よれた作業衣をまとった茶髪で太り気味の男性が掃除をしている。箒で拾い集めたゴミを、もの凄い勢いでゴミ箱に放り込む。年齢からして、この時間のこのバイトというのはちょっとキツイか。よほど金に困っている事情でもなければ、ワーキング・プアに陥っている可能性が高い。それは屋内で働いているマック店員にしたって、そうだ。
深夜になってまで、バティングセンターでバッティングをしたり、マックで勉強したり出来るというのは、便利なようではあるが、必要のないことであり、そうした不必要なサービスを供給するために、死にそうになって働いている人や、荒廃している人を見るのは、何となく矛盾を感じる。資本主義の病理形態だ。