マキノ雅弘『阿片戦争』(1942)

イギリス人も中国人も日本語をしゃべる。しかし溝口の『楊貴妃』とは比較にならない出来。娯楽作品に徹しているからだろう。

公開:1942年 監督:マキノ雅弘
主演:市川猿之介、原節子高峰秀子河津清三郎、小杉義男、清川荘司、菅井一郎
D・W・グリフィスの『嵐の孤児』に着想を得た、傑作スペクタクル史劇。1893年、阿片を流布して中国侵略を目論むイギリス側と、その陰謀から人民を守ろうとする清の役人の虚虚実実の駆け引き。そして戦乱に巻き込まれて散り散りとなった姉妹の悲劇。美姉妹には原節子高峰秀子!戦時中の時局に応じた企画だが、俯瞰で撮られたミュージカル場面など、マキノならではの魅力に満ちた一本。

いつもながらの演出のうまさ、美人にうっとり。それが少女時代の高峰秀子と美しい盛りの原節子ときたら!原節子の歌声、身のこなしに完全に惚れる。最後、高峰と原が出会わなかったのはご愛嬌。原節子への恋愛感情をどうしたものか*1

*1:それで思い出したが、今日昼間にダウン症の番組をやっていて、ナレーションの宮崎あおいが本当に良かった。