買った本

エドウィン・アーノルドのように、日本の庶民世界ののどかさ気楽さにぞっこん惚れこんだ人は、西欧的な心の垣根の高さに疲れた人だった。しかし、心の垣根は人を疲れさせるだけではなかった。それが高いということは、個であることによって、感情と思考と表現を、人間の能力に許される限度まで深め拡大して飛躍させうるということだった。オールコックやブスケは、そういう個の世界が可能ならしめる精神的展開がこの国には欠けていると感じたのである。(576)

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

他に加藤秀俊『人間開発』(中公新書)。