ビリー・ワイルダー『七年目の浮気』(1955)

公開:1955年 監督:ビリー・ワイルダー
主演:マリリン・モンロー、トム・イーウェル、イヴリン・キース、ソニー・タフツ、ロバート・ストラウス、オスカー・ホモルカキャロリン・ジョーンズ
雑誌社に勤めるリチャードの妻子が、夏のバカンスで家を空けることに。折り良く、同じアパートの階上に素敵な美人がやってくる。少々空想癖のある彼は、さっそく彼女との浮気を夢想しはじめるが…。妄想に妄想を重ねる男の哀れなまでの奮闘ぶりの可笑しさと、モンローのいじらしくキュートな身振りに魅せられる傑作コメディ!白いスカートが風に吹き上げられるモンローの姿はあまりにも有名。

『恋をしましょう』の5年前に公開された映画。磨き上げられた美しさとまではいかないが、ややぷっくらした感じのマリリン・モンローがかわいらしい。<シネマスコープのステレオ映画>という台詞が作中にも出てきたけど、ラフマニノフのピアノコンチェルトが何回も流れて、これぞゴージャス!という感じ。トム・イーウェルのコミカルな演技も最高。
某ブログで「マリリン・モンローがいまいち」との評価があったが、全然そう感じなかった。<頭のちょっと弱いかわいらしい女の子>という形象もフェミニズム的には問題だろうが、コケットリーが孕む複雑な権力関係を考えれば、やはりマリリン・モンローは無敵である。あんな女の子と家で二人きりになったら…、と頭の弱い男の立場で考えてしまわざるをえない。「…この一篇、記念アルバムみたいな感じでアメリカ映画史に残るだろう」と双葉氏(『愛をめぐる』P132)。