ジョージ・ロイ・ヒル『明日に向かって撃て!』(1969)

公開:1969年 監督:ジョージ・ロイ・ヒル
主演:ポール・ニューマンロバート・レッドフォードキャサリン・ロス、ストロザー・マーティン、ジェフ・コーリー
壁の穴強盗団として西部で名を馳せるブッチ・キャシディーとサンダンス・キッドは、現金輸送列車を襲ううち名うての保安官達の返り討ちにあう。逃げども逃げども追跡され、やむなく女を連れて南米ボリビアへと旅立つ。が、どこへ行ってもお尋ね者の彼らは、いつしか時代に取り残され…。主題歌「雨にぬれても」の自転車シーンが忘れることのできぬ名作。

「型破りの西部劇だが、前半を追跡劇一本にしぼったウィリアム・ゴールドマンの脚本が非常に優秀。ジョージ・ロイ・ヒル監督の演出もユーモラスな味を加え、現代的な感覚で二人の天衣無縫ぶりを描いて大いによろしい。主演三人、バード・バカラックの主題歌、ともに魅力たっぷり」(双葉十三郎『外国映画〜』P14)。
セピア色の冒頭シーンから白色系のまぶしい画面への移り変わりが見事。他にも列車上を走るシーン、紙幣が空を舞うシーン、自転車に乗るシーン、崖から飛び降りるシーンなど、名場面がぎっしり。ユーモアに富んだ皮肉な会話に、屈折を含んだ男の美学を感じる。ボリビアへ向かうまでの写真ショットの積み重ねも秀逸。非常に独特な味わいをもった映画(ある意味分かりにくいとはいえる)。