ウィリアム・ワイラー『おしゃれ泥棒』(1966)

公開:1966年 監督:ウィリアム・ワイラー
主演:オードリー・ヘプバーンピーター・オトゥールイーライ・ウォラック、ヒュー・グリフィス、シャルル・ボワイエ、マルセル・ダリオ
表向きは名画コレクター、でも実は贋作の名人シャルル。そのシャルルを疑う私立探偵シモン。シモンを泥棒と勘違いするシャルルの娘ニコル。この不思議な三角関係と美術展に出品されたヴィーナス像を巡って、ひと騒動が持ち上がる!そしていつしかシモンとニコルの間には愛が芽生え始めて…。巨匠ワイラーが手がける、オードリーのお洒落な魅力いっぱいのカラフル・ロマンティック・コメディ。

シネマヴェーラ。双葉先生。

ワイラー監督がヘプバーンの魅力を十二分に発揮させたコメディ。舞台はパリ。ニセモノ作りの名人の娘オードリーは、父の秘密をさぐりにきた探偵オトゥールを泥棒とまちがえる。折も折、父から美術館にあるヴィーナス像を盗み出してくれと頼まれた二人は目的を達する。ここがサスペンスたっぷりの見せ場。結局、像は父の作った贋作で、これを百万ドルで人に売りつけて、めでたしめでたし。オードリーのファッション、ワイラーの才気、いいですねえ。

引用してみたものの、やや難ありの整理かも。父の頼みで盗みを働いたわけじゃなかったし、百万ドルで売りつけるまでには至らなかった。でも、オードリーのファッション、いいですねぇ、というのはその通り。保険に署名してしまう展開とか、息苦しい掃除箱の中で進むサスペンスとか、きわめてよく出来た脚本で、盗みに至るまでの工夫や、鍵を磁石で引き寄せるシーンなど、忘れられない場面も数多い。スポーツカーが暴走するなどの何気ないディテールも楽しくて良い。あと一風変わったお嬢さんを演じさせたら、やっぱりオードリー・ヘップバーンですね。名作。