今村昌平『にっぽん昆虫記』(1963)

(123分・35mm・白黒)戦中、戦後の激動の時代、我が娘(吉村)との平穏な暮らしをひたすら夢見て、女であることを武器に必死で生きる女を左幸子が熱演する。今村が「何とか違う(映画作りの)方法を探ろうとした」本作には、ストップ・モーションの多用や、段落の合間に挿入される主人公の詩の吟詠など様々な工夫が見られる。
’63(日活)(脚)長谷部慶次(撮)姫田真左久(美)中村公彦(音)黛敏郎(出)左幸子、吉村実子、長門裕之北村和夫河津清三郎小池朝雄北林谷栄岸輝子春川ますみ佐々木すみ江、相沢ケイ子、殿山泰司、桑山正一、露口茂東恵美子

フィルムセンター。双葉本では、まとめが間違っているので注意。
しかしやっぱり魅せますね。近親相姦気味の土俗的な性愛も生々しく描かれている。精神薄弱の父に娘がおっぱいを飲ませるシーンも素敵だし、新興宗教にはまる場面も良かった。セックス、セックス、セックス!!リビドーの巨大なエネルギーが社会の底で蟠っているのです。性が聖に通じるというテーマは、キム・ギドク『弓』とも共通。描き方は全然違うけど。