フランソワ・トリュフォー『家庭』(1970)

公開:1970年 監督:フランソワ・トリュフォー 主演:ジャン=ピエール・レオー、クロード・ジャド、ダニエル・セカルディ、クレール・デュアメル、松本弘子、バルバラ・ラージュ、ダニエル・ブーランジェ
ついに結婚を果たしたドワネルだったが、いまだ定職にも就かず、どこか孤独で、やっぱり大人になりきれぬ日々。子供が生まれど妻には冷たくあしらわれ、ジャン・ユスターシュに電話をかけても留守、浮気相手の日本人女性にも愛想を尽かされて…。アントワーヌ・ドワネルよどこへゆく?ユロ氏もひょっこり顔を出します。

バイオリンを持ったクロード・ジャドの美脚から映画が始まる。ジャン=ピエール・レオーがいつの間にか花屋さんに。不良少年にいったい何が起こって、こんなに幸せな人になってしまったのか?途中の作品を観ていないのでよく分からないが、昨日読了した山田宏一トリュフォー、ある映画的人生』によると、アンドレ・バザンとの出会いを通じてトリュフォーは幸せになったのだという。とはいえ、批評家時代のとんがったトリュフォーからして、この作品のジャン=ピエール・レオーはあまりに幸せすぎるのでは?クロード・ジャドも赤ちゃんもかわいらしいし。意識的に明るく描いている可能性は高いが・・・。
日本人女性との浮気がマンガちっくに描かれていて面白いのだが、これで良いのか?とも思った。女性に憧れつつも、息苦しさも感じてしまう、日常のさりげない描写は、なかなかリアリティーを感じる。面白い作品だが、私小説的すぎるというか、日常をテーマにしているがゆえの退屈さもないわけではない。