マイケル君、さようなら

今朝八時頃、マイケルが息を引き取った、と電話があった。
四日ほどまえから、何も食べないで、台風を避けて、小屋でずっと寝ていたのだそうだ。今朝になって小屋から出て、いつものように吠えたというが、その声はいつもとは違った調子のものだったらしい。朝、小屋から出たり入ったりして、家人が気づくと、目を開いたまま、地面に横たわって死んでいた。
一生の最初から最後までをずっと気にかけてきた存在が、このようにいなくなってしまうことは大変辛いことだ。すべてを自分たちに委ねて生きていた小さい存在であるだけに、いっそう儚く感じられる。
神経質で潔癖な性格で、決して出来の良い犬ではなかった。だがそれは自分が幼いマイケルを溺愛して甘やかしてしまったせいでもある。顔がかわいかったし、寂しがりやで神経質な性格も、逆に人間臭くて可愛らしかった。
いま、マイケル君はダンボール箱のなかに、お花とともに安置されているという。明日、保健所で火葬されるとのことだ。14年前、保健所にいたマイケルを車で引き取った際の光景が思い出される。手のひらに乗っかるくらいの小犬が、車に酔って、私の手のなかで米粒を一粒、吐き出した。「コイツをこれから育てていくんだな」と、そのとき思った。
これまでの感謝とともに、成仏を祈りたい。