スコセッシ『レイジング・ブル』(1980)

公開:1980年 監督:マーティン・スコセッシ 主演:ロバート・デ・ニーロ、キャシー・モリアーティ、ジョー・ペシフランク・ヴィンセント、ニコラス・コラサント
ミドル級ボクサー、ジェイク・ラモッタの壮絶な半生が描かれたボクシング映画。“怒れる牡牛”ジェイクの迫力のボクシング・シーンと対をなして、私生活での妻や弟への疑心暗鬼が暗く影を落とす。ヒーローではなく人間を演じたデ・ニーロの徹底した役づくりのみならず、スコセッシの繊細な演出力も冴える一本。

ロバート・デ・ニーロの激ヤセ・激太りにあっけにとられる作品。神経質で女性依存のDVボクサー、デ・ニーロだが、ボクサーのときはとんがった魅力もあったものの、引退し、激太りしてからは、しょーもないアメリカン・ジョークを操る舞台芸人に変貌、驚くほどの俗物に成り下がる。鏡の前で「俺はボスだ、俺はボスだ」と気合を入れるラストシーンは、たしかにちょっと哀れ。でも、こんなダメ人間のリアリティーなんて、映画で味わいたいとは思わないな。ロッキーで良いよ、という感じ。
ただこのシツコサゆえの]『NO DIRECTION HOME』、ボブ・ディランだったのかもしれないとは思う*1。あれは、めっちゃかっこよかった。

*1:シツコサ、で思い出したが、スコセッシって今村昌平が好きだったはず。合点、腑に落ちまくり!!