岡本愛彦『青春の海』(1974)

(89分・35mm・カラー)放送記者からテレビのディレクターへ転身、記録映画でも活躍した岡本愛彦。劇映画では青春映画を得意とし、本作でも港町を舞台に、大人の世界に押しつぶされる若い男女の悲痛な青春を描いた。舞台俳優でアニメ「ムーミン」のパパ役の声優でもある高木均が、少年を抑圧する無骨な身寄りを好演。
’74(東宝=にんじんくらぶ)(監)(脚)岡本愛彦(出)高木均(源次)(原)富島健夫(脚)野口溪(撮)奥村祐治(美)平田逸郎(音)田中正史(出)原田大二郎、青木英美、常田富士男春川ますみ、島早苗、高橋有希子、野村昭子伊川東吾、佐野厚子、佐藤輝昭、桐谷夏子

1974年頃の千葉の港町が興味深い。家は貧しく、大人達からはたかられ、高校には行けたけれども、大学には進めそうにない。真面目に生きていくには障害が多すぎる。苛立ちを乗り越え、健気に前向きになろうと決意するものの、それも儚く…。平凡だが骨董品的味わいのある青春映画。原田大二郎は高校生という雰囲気ではない。