石井輝男『網走番外地 望郷篇』(1965)

(89分・35mm・カラー)任侠映画ブームの火付け役の一人でもある石井輝男の「網走番外地」シリーズの第3作。故郷長崎の自分の組を他の組の横暴から守るべく、主人公(高倉)が奔走する。『独立愚連隊』(1959年)以来、数多くの岡本喜八監督作品にも出演した性格俳優・中谷一郎は本作では長崎の組長の息子を演ずる。
’65(東映東京)(監)(脚)石井輝男(出)中谷一郎(猛)(原)伊藤一(撮)稲田喜一(美)藤田博(音)八木正生(出)高倉健、林田マーガレット、桜町弘子、杉浦直樹田中邦衛嵐寛寿郎東野英治郎、砂塚秀夫、安部徹、由利徹待田京介

美しい国」はフィルムの中にしかありません。高倉健が圧倒的な素晴らしさ。殺伐としたカットの積み重ねのなかから滲んでくる情念と美意識。傑作。
第一作は観たが、第三作の舞台は長崎。長崎の町並みはまだ古い瓦づくりの家屋が並んでおり大変美しい。黒人系混血児の女の子が絡みながら展開するストーリー展開もきわめて卓抜。結核病み上がりのサングラスの任侠にも存在感があり、高倉健が彼の前で肌を焼く対決シーンはすばらしい迫力だった。ラストの殴り込みはそりゃもう最高。田中邦衛も良かった。
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