阿部謹也『自分のなかに歴史を読む』(ちくま文庫新刊)

この本は名著だと思う。中世人の生死の観念が、キリスト教流入によって11世紀頃から変質するようになる。モノを媒介とする互酬的関係とヒトとヒトとの人間関係。「大宇宙と小宇宙」という世界観がキリスト教によって変質していったことがヨーロッパ文明の本質を生んだ。自伝的な語りも含め、語られていることも語っている人もすごいと思わざるをえない。おすすめ。