稲垣浩『大坂城物語』(1961)

(95分・35mm・カラー)「謙虚な物作り」の精神を重んじ、多くの作品でコンビを組んだ稲垣浩から絶対的な信頼を得ていた撮影監督・山田一夫。そのカメラが豊臣、徳川間の争いをダイナミックに捉えた。また、和楽器が巧妙に用いられる伊福部の時代劇映画音楽は、本作でも箏の調べを効果的に交えている。
’61(東宝)(撮)山田一夫(音)伊福部昭(特技撮影)有川貞昌(出)丹波哲郎(石川貞政)、藤木悠塙団右衛門)、中北千枝子(八重の局)(監)(脚)稲垣浩(原)村上元三(脚)木村武(美)植田寛(編)岩下廣一(出)三船敏郎香川京子、星由里子、久我美子山田五十鈴夏木陽介平田昭彦志村喬、市川団子、田崎潤

超豪華出演だが、あらずもがなの合成画像など、おかしな実験性が垣間見られる。時代を考えれば微笑ましいともいえる。途中から普通の娯楽時代劇になり、最初から普通にとれば十分面白いのにさ、と思った。若い香川京子をカラーで見れるのは素敵である。変な映画だったが、面白く出来上がっていると思った。稲垣監督作品でいうと、『風林火山』(1969)の真面目さと『柳生武芸帳 双龍秘剱』(1958)のB級路線の間に位置する作品ではないか?