浦山桐郎『非行少女』(1963)

(114分・35mm・白黒)川島雄三作品や日活アクションからロマンポルノまで日活撮影所を支え、日本の撮影界のリーダーでもあった高村倉太郎の浦山桐郎作品。荒んだ生活からなかなか逃れられない非行少女を演じる和泉雅子は、同じ幼稚園出身である高村の撮影した本作を「先輩の作品の中でも最も好きな映画」と述べている。
’63(日活)(撮)高村倉太郎(監)(脚)浦山桐郎(原)森山啓(脚)石堂淑朗(美)中村公彦(音)黛敏郎(編)丹治睦夫(出)和泉雅子浜田光夫、香月美奈子、杉山俊夫、高原駿雄、浜村純、小池朝雄北林谷栄、小林トシ子、沢村貞子小夜福子小沢昭一

清水宏『何故彼女等はそうなったか』(1956)と同じテーマ。「少女の家」ならぬ児童相談所も出てくる。「堕ちた子どもに罪はない、彼女らは社会の犠牲者なのだ」というメッセージも共通しているが、浦山桐郎の演出では、青年期の不安定な心の揺らぎが具体的に書き込まれており、よりリアリズムに近づいている。和泉雅子が衝動的にどろぼうをしたり、鶏小屋に火をつけたり、自分で自分をコントロールできない歯がゆさが見どころ。児童相談所で更生して、大阪に出て裁縫所に勤めることを決意する時点で自分の人生を主体的に決意する一歩を踏み出すのだが、金沢の駅で恋人につかまり、やっぱり喫茶室で取り乱してしまう。ラストの列車のなかの和泉雅子はなかなか可愛らしかった。