平山秀幸『しゃべれども しゃべれども』(2007)

2007年 1時間49分 監督:平山秀幸 出演:国分太一香里奈森永悠希伊東四朗八千草薫、配給:アスミック・エース
うだつの上がらない落語家、今昔亭三つ葉はひょんなことから「落語教室」を開くことに。集まったのは口下手な美人、周りに馴染めない関西弁の小学生、使えない野球評論家……。コミュニケーション不全の3人組と三つ葉のさわやか再生物語!!

駄作の部類に入るだろう。9年前に『愛を乞うひと』という傑作映画を観たことがあり、同じ監督なので期待していたのだが。
国分太一が主演の時点で、失敗作になるのは決まりだったといえる。「下手な落語家が色々あって上達していく」というストーリーなのだが、下手なのは分かっても、上手になっていく道筋がいっこうに見えなかった。落語家は「いき」な存在でなくてはならないが、「いき」の概念を完全に勘違いしている。国分の演じる人物は、真面目一本槍の青年なのだ。真面目一本槍を「野暮」という。ふざけつつ真面目、真面目ぶりつつ不真面目、というのが「いき」である。これが「野暮」の反対概念であることは常識だろう。
伊東四朗の演技、眉毛のないカリナなど見どころもあるが、上述の常識をふまえないため、駄作になってしまった。かりに脚本段階で「いき」なキャラクター設定がなされていたとしても、「真面目にがんばるのが良い」と思っていそうな国分には、「いき」は演じきれなかったのではないか。もちろん「ジャニーズが頑張って落語をやってみた」というレベルでは、感心できる部分もあった(少なくとも熱演ではあった)。