中間考察その3

小難しいことばかり書いて申し訳ないが、昭和研究会のくだりもやっぱり面白かった。近衛新体制を近衛自身が裏切っていったという、その過程を詳しく知りたい。
近衛新体制は、盧溝橋事件・日華事変が勃発するなか、政党の腐敗を批判する軍部と、軍部と官僚内閣をともに否定する重臣リベラリストとの、二重の相反する期待を背景に、現状打破運動のかたちで展開された。しかしそこに左翼が流入したので、2・26事件でポシャッた皇道派が旧財閥などと結びついて、左翼退治に乗り出した(企画院事件などに発展)。新体制はこうして名実ともに骨抜きになって、最終的に精神運動化(「精動」)した。――ということが述べられていて、大変興味深かった。
大正デモクラシーを軸に戦時体制を評価すると、やはりこういう視点になるよね。