北野武『ソナチネ』(1993)

出演:ビートたけし国舞亜矢寺島進大杉漣

この作品も沖縄が舞台。「トラウマ・沖縄・戦後日本」みたいな安易な論文を誘発しかねない、図式的な精神分析理論の跡が濃厚。でも図式的でも(だからこそ)(簡潔で)素晴らしい。「死ぬ覚悟があるうちは生きているけど、生の秩序に向き合う瞬間に、死への欲動が芽生える」というのは「生の美学」。「死への決意をもってこそ生が輝く」という美学じたいは、任侠に限らず、古代ギリシャにも読み取りうる。やはり女の趣味が独特。