これが亜細亜だよ

映画の後、飯田橋ブックオフ山田宏一『シネ・ブラボー 小さな映画誌』(ケイブンシャ文庫)を購入したのであるが、この中の神代辰巳論(「神代辰巳の甘美なる逃走」)に、ディズニー野郎(=ネズミ野郎)に聞かせてやりたい一節がある。

神代辰巳の映画の人物たちは、男も女も、まるで二十歳になるまえに人生が終わってしまったことを――すくなくとも、二十歳がけっして人生の最も美しい年齢ではないことを――知ってしまった人間の悲しみを背負っているかのようだ。彼らはセックスばかりしているのだが、フェリーニの『カサノバ』のようにいじましいほど悲壮な覚悟でセックスに挑むというのではない。『四畳半襖の裏張り・しのび肌』の芹明香のけだるい口調をまねれば、「男と女はアレしかないんよ……バンザーイ」というだけのことなのだ。/男女七歳にして愛も別れも知ってしまったような人間たち。人生はもはや生きる対象ではなく、ただ男と女のアレがあるだけ。神代辰巳の映画に、人生とは何かをきまじめに問うような人物が出てきたことがあるだろうか。夢とか希望とか、理想とか野心とか、そんな生きる目的と手段を持って誇らかに生きる人物が出てきたことがあるだろうか。(119)

ディズニーに洗脳されているバカな日本人に味読してもらいたい。