“For Gods, Tsar and Fatherland”

民主主義は本当に人類共通の価値観となり得るか、世界33か国の共同制作のロシア編。民主主義の後退が危ぶまれるなかで、台頭した愛国主義。ある実業家が民主主義に失望した市民を集め、愛国主義の村を建設した。実力者を支援するのは、ロシア下院副議長ら政治家や軍人たち。ロシアの人々は何に苦しみ愛国主義へ傾斜するのか、旧ソ連グルジア生まれの女性監督キルタゼが、村の日常と、村をとりまく政治家たちの動きを撮った。

見てビックリ。ロシアには、「人民の意思」とかいう愛国主義的な政党が存在する模様。大ロシアの理念を掲げ、反米愛国を唱えるまでは良いのだが、無気力な青年を引き取って村で労働させ、宗教教育を施している。「何も考えるな。オレが答えだ」とまさに戸塚ヨットスクール状態。ソ連邦崩壊後のアノミーを厳格な宗教性で乗り越え、しかも政権内部にまで食い込んでいる様子。世俗秩序を宗教的秩序と同一視するため、指導者を絶対視して民主主義は敵視されている。怖い。